1932年(昭7)新潮社刊。新作探偵小説全集第5巻。昭和初期の探偵小説作家10人の競作全集の一つ。作者の橋本五郎(1903-1948) もその一人だったが、長篇作品はこれ以外に見当たらない。(同姓同名の戦後生まれのジャーナリストとは別人。) 神戸の公園のベンチに放置された死体が立て続けに発見される。いずれも前夜に絞殺されたものと判定されたが、直前の目撃情報では犯人と連れ立ってゆっくり歩いていたという。それが同じやり方で4人も続くとなると警察も躍起となって捜査に取り組んで行く。事件の発見者となった2人の新聞配達の青年も事件に首を突っ込んで行く。丁寧な筆致で読み応えはあるのだが、読者に対する情報の…