行列を裸足で必死に追いかける、若い娘さん。非業の死を遂げて怨霊になった橘逸勢(はやなり)の子でした。松が連なる背景は海ですね。この海から伊豆へ流されていく予定だったのかしら。 「早稲田大学図書館古典籍総合データベース」より 橘氏妙仲(たちばなうぢのめうちう) 橘の速成(たちばな の はやなり)が娘なり 其父罪を得て伊豆の国へ流さる娘別れを悲しみ共にゆかんとせしかば 警固の武士これをゆるさず かかりしかば 止(とどま)る体にもてなし 昼は遅れ 夜はおひつきぬ逸勢 遠江の駅にて病みて死す 娘あこがれ嘆き なきがらをほふむり身は尼となり 妙仲と名をあらため墓のかたはらに庵して おこなひすますこと十余…