山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(35) 今回は、第4章 機械としての生命 第3節 自己増殖する機械 の続き(p.187~)である。 科学的知識の創造性 ある分子を「プログラム」として理解すること(あるいは生命を「情報機械」として理解すること)は、生命を構成する化学反応系を理解するために観察者の側が設定する「疑似的解決」である。そうした理解枠組みの設定は一つの飛躍として、あるいは創造としてなされる。 この創造はいかにしてなされるのか? カンギレムは、次のように主張していた。 我々は、単なる物質的な因果関係の系列(「異様なメカニズム」)を、機械と類比させることではじめて、ある目的…