怪談驟雨:蛙声堂主人 1889年(明22)吉田博声堂刊。 (くわいだん・にはかあめ)副題として「一名:四つ手の尼」と出ているので最初から化物譚だろうと想像がつく。作者は蛙声庵(あせいあん)主人となっているが、京都の新聞社の作家記者と思われる。当初京都日報に10回にわたり連載されたようだ。 怪談驟雨:蛙声堂主人、芳州・画1 京都の呉服屋で働く若者宗次郎が、仕事で丹波方面に出かけた途上で大雨に遭い、雨宿りした所が尼僧の庵室だった。彼は尼僧の美貌に惹かれつつ、大雨を口実にそこで一夜を過ごすことになる。尼僧はある理由から出家して世を忍ぶことになったと話す。情欲を抑えられなくなった宗次郎は結婚話を持ち出…