私:利常の文化政策も終盤に入ってきたな。信長の文化政策と比較して、利常の文化政策を語ってみたい。さて信長は「茶器」を領土(一国一城)にした。信長のパラダイムシフトには目を瞠る。これを「御茶湯御政道(政治に文化を持ち込む)」という。政治の報酬(領土)を文化の報酬(茶器)にパラダイムシフトしたわけだ。 N:利常にはパラダイムシフトはありますか? 私:利常は「武器武具」を「美術工芸品」にパラダイムシフトさせた。「御細工所」を創設して、武器武具の制作と修理の場から美術工芸品の制作の場へと転換させた。利休の茶事を完遂させるために美術工芸品は必須であり、「古九谷」は、信長の茶器のように、利常においては一国…