「あの本多記者はどこに行ってしまったのだろうか。アラスカとニューギニアにつづいてベトナムでも本多記者は「足で書く」記者であったはずである。もちろん『戦場の村』の内容や方法についても批判は多い。しかし本多氏は現場に行って事実を確かめたうえで「自分はこう思う」と自己を守ることができた。しかしグエン・バン・チュー政権への抗議は美化しても、共産ベトナムへの抗議は評価しないというなら、また取材の自由がないところでは確かめようがないから何でも書くことができると考えているのであれば、これは報道記者としての堕落である。いま本多記者を「ハノイのスピーカー」と呼ぶ人がいるのも非難ばかりはできない。