「母のハンバーグ」 俺の母さんは、生まれつき両腕が不自由だった。 だから、料理は基本的に父が作っていた。 ただ、遠足などで弁当がいる時は、母さんが頑張って作ってくれていた。 でも、小学校6年の時の遠足で、見た目が悪い母さんの弁当を見られるのが嫌で、 とうとう「弁当はコンビニで買っていくから、この弁当はいらない!!」と言ってしまった。 母さんはそんな馬鹿な俺に、ただ、うまく作れなくてごめんねとしか言わなかった。 時は過ぎ、小・中は給食だったのだが、高校になってからは給食はないのでいつも昼は購買のパンですませていた。 しかし、高校2年になったある日、母さんが弁当を作ると言い出した。 それは遠足の時…