デジタル壁時計が壊れた。正確には、中に仕込む乾電池が切れてしまい、数字の表記が消えて何も見えなくなった。 それは、私の誕生日の翌日に起こった出来事だった。 これは何かの暗示だと思ってしまった。「数字に囚われるな」というメッセージだと思った。私は強迫的な性格で、今在籍している大学の研究も統計学をバリバリ使っているし、数字を用いたデータ分析が得意だ。目に見える、答えのある世界にいると安心する。 だが、そのデータ分析だけでは解決できない出来事をアラサーになって数多く体験するようになった。「なんで大切な人が目の前から消えていってしまったんだろう?」「なんでいつもこんなことしちゃうんだろう?」「自分はこ…