兄の遺著が届きました。目次だけでも11頁、全体では650頁を超える浩瀚な一冊ですので、内容を要約してお伝えすることは手に余ります。そこで、兄の思いが滲み出た2つのパラグラフをご紹介したいと思います。 一つは最終章である"第五章 訳読の方法と課題"の最終節"5.訳読の復権に向けて"の最後のパラグラフです。 『・・・概括的に言えば、日本人はオランダ語の訓読法に倣って英文訓読法を編み出し、それによって英語を学び、訳してきたが、一部にはたえずこれ以外の訳し方(新しいプログラム)はないかと、問を発し続けた人たちがいた。そうした探求の結果が直読直解法や順送りの訳のような形で間歇的に現れたのである。われわれ…