「怖ろしくて怖ろしくてどうしようもない。こんな気持ち、あんたにわかるん?」 (章人の言葉) 熱田神宮の熱田まつりは毎年6月、名古屋に夏の到来を感じさせる祭りだという。お椀をさかさまにした形にいくつもの提灯が飾られ、高さ18mの巨大な光のモニュメントが海を渡ってゆく。それを見ている男の後ろ姿がこの映画のファーストシーンである。 ニューヨークでカメラマンとして活躍する達也(永瀬正敏)は、何年かぶりに故郷に帰ってきた。しかし帰る家は、廃墟のように人を近づけない建物に変貌している。街中のビジネスホテルに泊まる達也だが、そこに弟、隆史(金子ノブアキ)夫婦も泊まっていた。 何があったのか、見る人には少しず…