大阪・河内長野市は、かつての河内国南部にあたる山あいの地域で、京都から高野山につづく街道の合流地点として栄えた歴史を有します。当地には観心寺と金剛寺という真言密教の大寺院があり、この地域における信仰の中心を担ってきました。また、両寺は南北朝時代に後村上天皇の行宮(行在所)となり、南朝勢力の拠点として重要な役割を果たしました。今日でも、武将・楠木正成ゆかりの寺として多くの歴史ファンに親しまれています。京都国立博物館では、平成28年度(2016)から令和元年度(2019)にかけて、両寺の文化財悉皆調査を実施しました。本展はその成果を公開する機会として、従来知られた名品に加え、調査によってみいだされ…