世界が未曾有の危機に瀕したとき、国家はいかにして国民の自由と健康の天秤を取るべきか。スウェーデンの元国家疫学者アンデシュ・テグネルによる『学際的パンデミック対策』は、科学的根拠に基づき、過度な制限(ロックダウン)を拒絶し続けた一国の、孤独で強靭な闘いの記録である。 本書の白眉は、多くの国々が「出口戦略」なきままに導入した厳格な行動制限に対する、テグネルの冷徹なアセスメントにある。彼は、感染の完全な抑え込みという目標そのものを「非現実的」と断じ、数年に及ぶ可能性のあるパンデミックにおいて、社会を長期間閉鎖し続けることの不可能性を説く。ここで語られるのは、単なる疫学的なデータではなく、社会がいかに…