朝、起きたら顔を洗う。物心ついた時から、毎朝繰り返し行ってきた習慣の一つだ。まだ眠気がさめず、頭がもうろうとしている時でも、顔を洗う事で、目が覚めさっぱりとした気持ちになるものである。 今でこそ、寒い朝でも蛇口をひねれば温かいお湯が出るが、子どもの頃は冷たい水しかなかった。そこで、夜の内にふとんの中を温めてくれた「湯たんぽ」のお湯を洗面器に入れて、洗っていた記憶がある。 実は、こんな当たり前の行動にも歴史や背景があるという事を最近知った。 洗面については、道元禅師の記した『正法眼蔵(しょうほうげんぞう)』という書物の中に「洗面」についての記載がある事から、鎌倉時代以降に僧から広まったと想定され…