津久井五月氏の コルヌトピアを読んだ。本作は2017年の第五回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作である。西暦2049年東京都心南部で直下型地震が発生し、荒川両岸と環状八号線沿いの建物が焼失・倒壊し、三万五千人の人々が亡くなった。その災害復興の過程で、被害地域の外縁部をぐるりと囲むように森林のグリーンベルトが作られた。ただ、そのグリーンベルトはただの森林資源ではなく、植物群棲を計算資源として活用するフロラ技術であり、世界有数の計算資源保有国となっていた。そして、震災から三十五年後、フロラ開発設計会社の調査室に勤務する砂山渕彦は多摩川地区で発生したグリーンベルトの実験区域で発生した火災事故の原因調査…
以下、日記です(7万3千字くらい) 大作ゲームを1作50時間くらいやりました。大分小休止。 <喧嘩商売>シリーズを再読しマッチメイクの巧さを再確認しつつステゴロの相違を確認し、山風『魔界転生』のままならないマッチメイクに思うところありつつも蒼い幻想文学ぶりに気づかされ、『フールナイト』1~7巻(←区切り良い。)一気読みし世界構築とそれを物語や画面設計へ活かした作劇に感動。『WIRED』vol.50のテッド・チャン氏の問いにたいする思考法に感銘をうけ、『AC6』をやり廃墟・奇景欲を刺激された半クール。 ※話題にしたものごとへのネタバレがあります。ご注意ください※
日本SF作家クラブ/編 ハヤカワ文庫JA <収録作品>『黄金の書物』小川哲『オネストマスク』伊野隆之『透明な街のゲーム』高山羽根子『オンライン福男』柴田勝家『熱夏にもわたしたちは』若木未生『献身者たち』柞刈湯葉『仮面葬』林譲治『砂場』菅浩江『粘膜の接触について』津久井五月『書物は歌う』立原透耶『空の幽契』飛浩隆『カタル、ハナル、キユ』津原泰水『木星風邪』藤井太洋『愛しのダイアナ』長谷敏司『ドストピア』天沢時生『後香』吉上亮『受け継ぐちから』小川一水『愛の夢』樋口恭介『不要不急の断片』北野勇作 2021年のコロナ禍真っ只中に出版されたアフターコロナの世界を描いたアンソロジー短編集。実際、コロナと…
119.井上雅彦=監修『ヴァケーション 異形コレクションLV』(光文社文庫)ヴァケーション 異形コレクションLV (光文社文庫 い 31-45)作者:井上雅彦,宇佐美まこと,空木春宵,王谷 晶,最東対地,澤村伊智,篠たまき,柴田勝家,斜線堂有紀,田中哲弥,津久井五月,新名 智,平山夢明,牧野 修,芦花公園光文社Amazon
ポストコロナのSF (ハヤカワ文庫 JA ニ 3-6) 早川書房 Amazon 2021年4月現在、いまだ終わりの見えない新型コロナウイルスのパンデミックにより、人類社会は決定的な変容を迫られた。この先に待ち受けているのは、ワクチンの普及による収束か、あるいはウイルスとの苛酷な共存か。それにより人類の種属意識はどう変わるのか――まさに新型コロナウイルス禍の最中にある19名の作家の想像力が、ポストコロナの世界を描く19篇。日本SF作家クラブ編による、書き下ろしSFアンソロジー。 小川哲「黄金の書物」/伊野隆之「オネストマスク」/高山羽根子「透明な街のゲーム」/柴田勝家「オンライン福男」/若木未生…
編集:日本SF作家クラブ 出版社:早川書房 「ポストコロナのSF」「2084年のSF」に続くアンソロジー第3弾。 飛浩隆、円城塔の名前があったので購入。 イメージとして真逆なところを狙ったのかもしれないが、 良し悪しは別として宗教とAIを絡ませる作品が何作かあった。 先端技術を突き詰めると哲学的になってしまうということか。 野﨑まどの作品然りだが、それには敢えて言及しない。してるけど(苦笑) 流行りのAIとわざわざ絡ませなくても結構前からSF作品にはAIが出てくるので それほど目新しい題材だとは思わないが、 初読みの作家さんも含め、色々な作家の作品がサクサクと読めるのはやはり良い。 長編として…
順調に無職の桃井です!上半期読んだ本の中からおすすめを紹介します~
仮面ライダーギーツ〔TV〕ep.37-39 快楽天ビースト 5月号 水曜だけど土曜の番組〔TVer、RKK〕土曜の観光ツアー開発 県北編、まさやんにキャンパスライフを味わってもらいたい スキップとローファー〔Netflix〕ep.1 転生王女と天才令嬢の魔法革命〔PRIME VIDEO〕ep.11-12 少年と犬〔映画〕 登龍亭獅篭展4〔ギャラリープリズム〕6月17日 J2 大分トリニータ 対 ファジアーノ岡山〔DAZN〕6月17日 多治見市美濃焼ミュージアム 岐阜県現代陶芸美術館 虎渓山永保寺 地獄楽〔PRIME VIDEO〕ep.11 預言者の微笑 (福田和代)〔AIとSF〕 王様戦隊キン…
1つ1つがちょうどいい長さだからざーっと読めた。最近のAIの進化と再度夏の時代を迎えている現代日本SFの切り結びを見ることができる一冊。以下、面白かった作品の感想。 長谷敏司「準備がいつまで経っても終わらない件」は大阪万博の準備をネタにしたコメディタッチながらよく読むとまじめなことを書いているタイムリーな作品で、冒頭の作品として良かった。高山羽根子「没友」は人格とコミュニケーションのあり方を問う優れた作品で、短編としての完成度が最も高い。津久井五月「友愛決定境界」は『攻殻機動隊』などで電脳とリアルの問題として取り上げられてきたテーマへの新しいアプローチで良かったです。斧田小夜「オルフェウスの子…