海陽中等教育学校。
中高一貫制の全寮制私立男子校。
開校前はマスコミの報道が盛んであったが、開校後は急速に冷め、その実態に疑問を持つ人が多くなっている。
所在は愛知県蒲郡市。
トヨタ、JR東海、中部電力などの出資により設立された。
開校は2006年4月に「日本初のボーディングスクール」「未来のリーダーを育てる新しい教育」を謳いマスコミに相当採り上げられ、否定的な意見も少なくなかったが期待する声も多かった。
しかし、設立にあたって文部科学省が深く関与していたこと、異常とも言えるほど極端な管理教育や教育方針、極めて高額な学費などの問題が浮き彫りになっており、マスコミ報道がなくなる一方で批難が相次いでいる。
6:30 起床
7:00 朝食
8:10〜9:00 一時限目(授業)
途中5分 休憩※(1)
9:05〜9:55 二時限目(授業)
途中10分 休憩
10:05〜10:55 三時限目(授業)
途中5分 休憩
11:00〜11:50 四時限目(授業)
11:50〜12:50 食事&昼休み※(2)
12:50〜13:40 五時限目(授業)
途中5分 休憩
13:45〜14:35 六時限目(授業)
途中5分 休憩
14:40〜15:30 七時限目(自習)※(3)
15:30〜15:50 部活準備
15:50〜17:00 部活※(4)
17:00〜18:00 自由※(5)
18:00〜20:00 夕食&自由時間
20:00〜22:00 夜間学習※(6)
22:00〜22:30 消灯準備時間
22:30 消灯
(1)授業が行われる教室への移動時間
(2)昼休みは、自由 基本的にPCは不可 図書室でDVD可
(3)PCは可 インターネットは不可 集団勉強不可
(4)顧問の意思で18時まで可 生徒は、必ず参加 一週間に二つの種目は取り入れなければいけない
(5)食事は不可 PC不可 洗濯&シャワー
(6)PCは可 インターネットは一日を通してこの時間だけ可(勉強に関するもののみ)
そのほかに成績&生活態度が良い人は、
※1特別待遇自由生徒
になることができる。
※1はPCを使える時間ならインターネットが使える(ゲーム&有害サイト以外は可)(七時限目も可)
七時限目は参加しなくてもよい(自由時間になる)
部活に参加しなくてもよい(自由時間になる)
地元情報誌から「外部と遮断した異空間」と言われるように、隔離が必要という学校の考えから、外部との隔離が行なわれている。
市街地と隔離され、周りを海で囲む学校は異様であり、多感な時期に社会から隔離して、まともな人間が育つのかという疑問を持つ人は多い。
このことについては、朝日新聞が「エリート教育の構図−海陽の波紋」として報道された。
当初は「地元の子供たちにとっても大きな刺激になる」として住民も歓迎した。
しかし、生徒はIT端末を持ち常に居場所を把握され、休日に散髪に出かける時も教職員が引率、防犯カメラが設置され外からも近づけない。
市議の1人が「生徒が街を自由に行き来できると思ったが、あそこまで管理されるとは。ちょっと近寄りがたいですね」と漏らす。
このような報道により、海陽学園の行き過ぎた管理教育が浮き彫りとなっている。
中高生を教えるのは研究の成果をあげるのとは別の能力が必要とされる。その点で未知数の先生が多い。
また大学受験に向けたノウハウの蓄積がない。新設校はどこも5〜6年は試行錯誤するところが多い。
他に選択肢がある中であえて冒険する理由が薄い。
寮の運営未経験者が多い中で、今後思春期の難しい時期に入る生徒の管理ができるかどうか不安。
寮の運営ノウハウの蓄積には教育カリキュラム以上の時間がかかる。
新しい学校で次世代のエリートを育てると銘打ちながら、男女共学ではないのはいかがなものか。
外出などにも制限がかかる厳しい管理の中、男子だけの生活はどうなのか。
東京からの受験生のレベルは決して高くない。
来年以降も試験日を変更しない限り、質の高い生徒が集まるとは考えにくい。
愛知県私学協会では、翌年の私立中入試で青田買いを防止するため、入試時期を1月21日以降とするよう申し合わせていたが、海陽学園は奨学生資格審査を7月10日から実施。事実上の入試の前倒し実施であるため私学協会はこれに反発。議論の末、日本私立中学高等学校連合会と海陽学園設立準備財団との間で
(1)審査結果は入試後まで公表しない
(2)事前審査は今回限りとする
(3)審査料は返還する
との条件で和解が成立した。
ところが、一部の優秀な受験生の元には事前に審査結果を仄めかす電話連絡があり、和解は一方的に反故にされることとなった。また、体験入学時の面接で筆記試験合格後の面接試験を免除したり、体験入学者の一部に対して、校長から「ぜひ我が校へ」のメールが送信されるなど青田刈りは今なお続いており問題となっている。
校則が厳しい全寮制の男子校は閉鎖された環境という感が強く、いじめの温床となる危険性が非常に高い。
海陽学園より以前に、実はイートン校をモデルとする中高一貫制の全寮制私立男子校が石川県に既に開校していたという事実を知る人は少ない。
叡明館は海陽学園と驚くほど同じ要素を持って開校した。
極端なまでに実技科目を軽視し主要科目に特化するカリキュラムを組み、徹底したエリート教育を行なう学校は、多感な思春期の男子生徒に悪影響を与えることとなる。
ホームシックは当然であるが、相次ぐ盗難、逃げ場のない陰湿なイジメ、更には同性愛などの問題が徐々に多発するようになり、異常なまでの逃げ場のない管理教育が、生徒を間違った方向へ進めることとなった。*1
結果、叡明館は1990年に東大合格者を輩出するも、様々な問題から共学校へ移行し全寮制も廃止。
しかし、もはや改革は遅く、1995年に廃校となった。
海陽学園が上記のような事態に陥る可能性を否定できる者は誰もいない。