令和によみがえった「大和越え」 2021年3月、ある1冊の本が刊行された。上島秀友『本能寺の変 神君伊賀越えの真相――家康は大和を越えた』だ。著者は奈良県在住の歴史作家である。 すでに過去のブログ記事(「伊賀越え」タグから見ることができる)でも触れたが、この伊賀(甲賀)越えについては、「伊賀を通ったのか、それとも甲賀を通ったのか」で熱い論争が繰り広げられてきた。伊賀で「甲賀ルート」のことを話すと「けしからん」と言われ、甲賀で「伊賀ルート」のことを話すと「けしからん」と言われる状態が、現在もなお続いており、両者納得の決着はまだついていないし、つく見込みもない。 伊賀(甲賀)越えについて、最もよく…