中学に入ると,マンガ雑誌やマンガ単行本が買えるようになった。単行本と言っても,1つのものを全巻揃えるほどの懐具合ではない。だから,最後の巻やお気に入りの絵の入った巻を1冊買い,大事にしまっておいて何度も読んだ。また,それを手本に,絵の勉強もするのだった。 好きだったのは,石ノ森章太郎だ。彼の人物画はポーズがカッコいい。彼の真似して,たくさん人物画の練習をした。しかし,なぜカッコよく見えるのか,中学生の私にはわからなかった。小学生の時と同じである。その理由が分かるのは,ずっと後になってからのことだ。 石ノ森章太郎の「サイボーグ009」の単行本を持っていた。「地下帝国ヨミ篇」のラストの巻だ。使命を…