その時は、ふいに、静かに、日常の中に音も無く突然やってきました。 ちょっと大げさな言い方ですが、ささやかな私の願いの一つが、急に叶ったのです。 その願いとは、私を長いこと悩ませてきた、私の古ぼけた勉強机の消滅。 私が高校三年生くらいの頃、両親が買ってくれた勉強机。 ライティングビューロー式です。 勉強しない時は、台の手前部分を上に持ち上げてパタンと閉じることができるタイプ。 ガラス戸や、引き出しもたくさん付いています。 随分古ぼけていて、シールが貼ってあったりして、誰も使っていないし、捨ててほしくてたまらなかった私の机。 しかしこれまでの母は、「これは必要」と言って、決して譲りませんでした。 …