蛇姫様:川口松太郎 1939年(昭14)10月~1940年(昭15)7月、東京日々新聞、大阪毎日新聞連載。 1949年(昭24)日比谷出版社刊。 1968年(昭43)講談社、川口松太郎全集 第2巻 所収。 野州烏山藩の領主大久保佐渡守は病身のため、国元の政事は国家老の佐伯左衛門に任せきりになっていた。令嬢の琴姫を監督のため現地へ送ったが、佐伯の権勢を抑えるのは困難だった。佐伯の息子四人兄弟の末子彦次郎が酒乱の席で、城下の茶屋の主人を斬ったのが発端で、その甥の千太郎が刀で仇を討ち、その後旅芸人の一座にまぎれて身を隠す。千太郎の妹のおすがは琴姫の奥女中となって身を尽くすが、ある晩密書を届ける使いの…