根津美術館は青山の一等地にあり、おしゃれなブティックなどを横目にしつつ美術館へ向かう。そのイメージが強いせいか、同館の展示会と言えば幻想的な東洋絵画や煌びやかな工芸品の企画展の記憶が強く残っている。また、エキゾチックな大陸系の石像や古代の饕餮文字をあしらった器たちも時代を超えた美を感じ、変化する青山に対して良い意味で変わらない美を体現している。 そんなアーバンかつオリエンタルな根津美術館だが、国宝7件のうち2件は地味な仏教関連の書である。無量義経・観普賢経は平安時代後期に美しい染紙に金銀をあしらった最高級の用紙に写経されたもので、もとは別々の所有されていたものが奇跡的に根津で再開した。 根本百…