はしご酒(Aくんのアトリエ) その三十 「ヒトトシテ アマリニヒドクハナイデスカ」③ 「いぶりがっこは、文句なしに、抜群に美味しいとは思いますけど、あの、真逆の真っ二つ問題と、ナニか関係があったりするのですか」、と、思い切って尋ねてみる。 すると、割り箸の先でツンツンと、その、いぶりがっこを突(ツツ)くような素振りを見せながら、Aくん、「この、燻(イブ)す、なんだと思うんだよな~」、と。 「えっ!?」 「燻す、この感じが、人の成長と似ている気がする」 「燻す、が、ですか」 さすがに、俄には納得し難い。 「言い換えるなら、人は、燻されなければ成長なんてできない、ということだ」 燻す、成長、真逆の…