ひさしぶりにまだ読んでなかった短編集。 「父、断章」「母、断章」 フィクションかノンフィクションか、私 小説の体で虚構を語る、読ませる。 母、断章のラスト、人魚のように泳ぐ母 のイメージは強烈である。 「午後四時までのアンナ」 これも虚構か、これもいい。 「チパシリ」 脱獄王の物語。 「虫王」 明から清へ、コオロギの戦いに挑む。 「夏の帽子」 これも私小説のようで、虚構と現実が交 り溶け込んでいく、苦い物語。 「天気」 故郷が夢の世界となっていく、これも夢 というか別のものになっていく。 ひさしぶりの辻原登、長編も短編もおも しろい。読まなきゃ。 父、断章 作者:辻原 登 新潮社 Amazon…