明代の怪談を集めた「剪燈新話」の中の1編「牡丹燈記」がオリジナル。近江六角氏の家臣・中村豊前守の子息中村某が訳した「奇異雑談集」中の「女人死後男を棺の内へ引込み殺す事」が日本での初出となった。それが16世紀のこと。その後、浅井了意が1666年出版した「伽婢子(おとぎぼうこ)」(13巻)の中で、この物語を翻案して舞台を日本に移し、題名を「牡丹燈籠」とした。
それらを下敷きとし、1863年頃三遊亭円朝が創作した「怪談牡丹燈籠」が評判となり、明治17年(1884年)に速記本として出版されて大人気となった。下駄の音を響かせて通ってくる、「足のある」幽霊として当時の日本の大衆文芸では異例の存在だった。