特急「北海」が載った時刻表 45年前のことになるが、身重の妻を残して、単身東北本線を青森まで。午前一時ころだったろうか、青函連絡船に乗り込み函館へ渡った。当時はまだ山線を走って小樽-札幌ー旭川とつなぐ栄光の一番特急「北海」が走っていて、それに乗って一路小樽へと向かった。ディーゼルエンジン特有のうなりに、さすが北海道と、妙な感慨を覚えたものだ。誰かが「熊が住む国とはいえ、人がいれば文化はあるさ」と送り出してくれたことを思い出しながら車窓をからぼんやりと景色を眺めていると気がついた。町と町の間には本当になにもないのだ。アメリカ西部劇のような世界なのかなと思っていると小樽に着いた。この印象は、その後…