その日。私は大阪へ、出張しなければならなかった。お昼くらいには出掛けるので、その前に少しだけでもユクの散歩に行くように、と妻に命じられていた。朝の散歩から夕方の散歩まで、時間が空いてしまうからだ。 中之島公会堂 外は灼熱である。しかし、命ぜられた使命を果たさねばならない。「ユク坊!ちょっと散歩行くぞ!」と私が言うと、寝ていたユクは顔を上げた。その顔にはなんで?と書いてある。外が暑そうだからか、妙な時刻だからかは判らないが、ユクはまったく気乗りしていない。すまんな、私も命ぜられた身なのだよ。 散歩に行こうと説得されているユク坊。 玄関で散歩の準備を終え、賢く待つユク坊。行くとなったら、こうだ。ガ…