三 先ず独露墺の三帝同盟を試む しかるに国外を見れば、戦敗の仏国においては、少なくも表面には復讐熱が頗る高く、ア・ロ両州奪回熱は極めて強烈で、従ってドイツにあきたらず他の列国は、いずれも仏国の援助を無条件にて得ることのできるような形勢であった。ビスマルクはこれを怖れた。 仏国と他国との連合の出現を痛く気遣った。 しかしてその対独連合の成立を遮り、あくまで現状維持を計るには、我が方においても外交的一連合を作ってこれに当たるのを最良効なりと認めたる彼は、その外交の舵機をまずこの針路に向けた。しかして彼がまず目指す津口としたのは、独露墺の三国同盟をつくることであった。 この考えは彼既に普仏戦役のたけ…