アルゼンチンのウィチーの人々に伝わるお話です。 ウィチーの人々が住むグランチャコは乾燥したサバンナ気候で、狩猟したり、 川で魚を捕ったり、木の実を採取しながら、自然と調和しながら生きてきた、 民族の歴史がお話のベースになっています。 大切な火を独り占めするジャガーに、ほかの動物たちは、火をわけてもらおうと かけあいますが、ジャガーは分け合おうとしません。 そこで火を盗もうとモグラに似たツコツコが、トンネルを掘って、ジャガーの近くへ 行こうと試みますが、耳の良いジャガーに気がつかれ失敗。 今度はウサギが魚をおみやげにジャガーの火を盗もうとすると、 その火だねが山火事を起こし、怪我の功名で、みんな…
玉川大学出版部のホームページで「会社情報 - 玉川大学出版部」を見ると、昭和4年玉川学園出版部として発足し、昭和7年日本で初めての子ども向け百科事典『児童百科大辞典』(全30巻)を刊行したことが書かれている。『児童百科大辞典』は、今年が創刊90周年に当たる。完結は、昭和12年である。 手元に大辞典完結記念に出された可能性がある絵葉書がある。冒頭に挙げた写真で、昭和13年10月5日消印の玉川学園創設者小原國芳から京都市の多和格宛である。キャプションには、「出版部」とある。平成29年8月下鴨神社納涼古本まつりでシルヴァン書房から400円で入手。その時は小原の署名とは分からなかった。翌年の5月「小原…
今年も後2日ですね。年内にどうしてもアップしておくべきネタが残ってました。ジュンク堂書店池袋本店で2月19日まで「イデア書院→玉川学園出版部→玉川大学出版部100周年フェア」(honto店舗情報 - 【4F人文】玉川大学出版部100周年フェア)を開催中。玉川大学出版部の前身(玉川学園出版部)の前身であるイデア書院は、小川国芳により大正11(1922)年12月25日創立された。したがって、厳密には昨年が創立100周年であるが、実際の出版活動は大正12年からということで今年を100周年としているようだ。 手元に『児童文学』第1号(イデア書院、大正12年5月初版・同年6月3版)がある。平成29年8月…
いつも近くにいてるのに、友達やお母さんの気持ちってよくわからない。 近くにいるのに、遠くに感じてしまう… そんなとき、これからご紹介する絵本の中にヒントがあるかもしれません。 身近なともだち・家族・先生との関係に悩んだら ともだち きみなんかだいきらいさ ふたりはともだち おこだでませんように おかあちゃんがつくったる からすたろう せいちゃん かぞくのヒミツ しろいうさぎとくろいうさぎ はなのすきなうし まとめ 身近なともだち・家族・先生との関係に悩んだら ともだち 谷川俊太郎 文/和田誠 絵 玉川大学出版部 2002年 子供に友達がいかに大切か、友達のたいせつさや素晴らしさが伝わってきます…
おかげさまで『泣き虫スマッシュ!』で作家デビューしてから1年以上。4巻までシリーズを出すことができました。 tsubasabunko.jp 新刊が出るたびに、見本誌を出版社から一定数いただけます。家族や友人に配ったりはするものの、何冊か余るんですよね。 宣伝の意味も兼ねて他の作家さんやバドミントンの団体に送ろうかと思ったりもしましたが、押しつけがましい気がするし、そんな関係を築けていないので難しい。 ならば、図書館や学校に寄贈してみよう! デビューしたばかりの今は、何よりまず読んでもらうことが大切だし! というわけで、著書を寄贈したときのことを書いていきたいと思います。寄贈を考えている方のお役…
メディアミックスについて考える 春休みに読んだ本を振り返る。 あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。 あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。 (スターツ出版文庫) 作者:汐見夏衛 スターツ出版 Amazon 1年間で数回、女子生徒を中心に、この本がおすすめですと汐見夏衛さんの本を紹介される。映画を見に行った生徒が多いようで、ちらほらと感想が聞こえてきた。 特攻隊を扱った物語なのだけれど、汐見さんの描く物語は、おそらく好みを二分するのではないかと思う。自分への問いかけが多い読者は、気になるところが多すぎるように思う。物語に素直に感情移入していく読者は面白いのだと思う。 地域の図書館司書の方や、国…
人間は、超越の世界に触れつつ、技術の世界に住むものである。人間の世界を、このようにとらえると、子どもをおとなに(人間に)する行為である教育の目的は、 (1) その社会に既にある技術(アート)を子どもに教え学びとらせること、(2) 子どもの中にある学習する力、協力する力、創造する力、を育てること、(3) 子どもをして超越の世界に触れさせること、の三つになる。」 蜂屋慶 編(1985)『教育と超越』玉川大学出版部,p31 そのきっかけが、遊び、授業でありたい。
カエルはニンゲン、ニンゲンはカエル 「ポチャッ ポチョッ イソップ」カエルのくににつたわるおはなし 世界のむかしのおはなしシリーズ (玉川大学出版部 2022年1月31日 初版第1刷) 再話:アーサー・ビナード 絵:スズキコージ ポチャッ ポチョッ イソップ ―カエルのくににつたわるおはなし― (世界のむかしのおはなし) 作者:アーサー・ビナード 玉川大学出版部 Amazon どんな絵本… スズキコージさんの絵は決して小綺麗ではない。 黒線でモジャモジャと描かれたカエルたちは 土臭くエネルギッシュだ。 使われている色も強い。 混沌を表すシーンでの毒々しさ。 強烈で圧倒的な力を表す場面での燃え滾…
↑これではなくて、玉川大学出版部刊行(1980年) 故 吉川幸次郎先生に捧ぐ、とある。 オランウータンの唇は珍味という伝承。 中国でサルの位置が相対的に高い理由は、女を拐うサルが、テナガザルの中でも高貴とされる白猿だからこそ。 魯迅であろうと、容赦なし。 そしてまあ、エリアーデはやっぱヘンタイだわ、と再確認。
授業改善 (シリーズ大学の教授法6)作者:佐藤 浩章,栗田 佳代子玉川大学出版部Amazonシリーズ6冊目の「授業改善」は、初等・中等教育機関における授業改善の歴史と特徴といった話から始まって、大学における授業改善とはどんなものか、授業改善の方法にはどのようなものがあるのかまで、網羅的に書かれています。
研究指導 (〈シリーズ 大学の教授法〉5)玉川大学出版部Amazon「研究指導」について1冊丸ごと書かれている本を見たのは初めてで、この4月から(卒論を目指しての)”ゼミ”を初めて担当する身としてはドキドキしながら読みました。 本書を含むこのシリーズに興味をもったのは、所属先のFD研修がきっかけですが、 lionus.hatenablog.jp シリーズの中にこの「研究指導」が1冊含まれていることも大きな要因でした。 研究計画書のテンプレートなど、実用的な内容も多く含まれているのは有難いです。
学習評価 (シリーズ 大学の教授法4)作者:中島 英博玉川大学出版部Amazon学習評価≒成績評価と思われがちかもしれませんが、本書を読むとそれだけでないことが分かります。 学習評価の意義: 学生の学習を促進する 学生の到達度を確認する 教員の授業改善を促す 学生支援の資料となる 社会に対する説明責任を果たす 本書も、同じシリーズの他の本と同様、概念(考え方)から具体的な方法、具体例まで提示されていて、特にレポート課題の出題や評価の仕方、グループ学習の評価におけるフリーライダー(グループに貢献せず成果にただ乗りする)問題への対応など、参考になります。
アクティブラーニング (シリーズ 大学の教授法)作者:中井 俊樹玉川大学出版部Amazonアクティブラーニング、させるのもするのもどちらも苦手意識が強いです。 自分が現役の大学生の頃は、語学や心理学基礎実験などを除けば、教壇から講義いただく「講義法」がほとんどであったため、現在教員として授業内でグループワークなどをするのも、なかなか慣れず恐る恐るやっています(汗)。 本書ではアクティブラーニングの意義など基本的なことから、様々なアクティブラーニングの方法(活動)の紹介、成績評価(グループワークの評価など、しばしば困ります)についての考え方、アクティブラーニングに活用できるシート例といった、実践…
講義法 (〈シリーズ 大学の教授法〉2)作者:佐藤 浩章玉川大学出版部Amazon本書の「講義法」とは、どちらかというと狭義の「講義法」すなわち教壇から教員が受講生に対して講義する方法をメインとして扱っています。板書の仕方など、スキルレベルのことまで網羅して書かれており、非常に丁寧な印象を受けました。「講義法」がメインですがアクティブラーニングについても1章割かれています。 一読して、当たり前のことを当たり前にすることは大事であるがしばしば難しい(自分を振り返って)と感じました。
授業設計 (シリーズ 大学の教授法)作者:中島 英博玉川大学出版部Amazon所属先のFD研修で、シラバスの書き方について外部の先生にご講義をいただいた中で、本書の内容がそこここで引用されていたので興味をもってこのシリーズ(大学の教授法)6冊をざっと通読してみました。 インストラクショナルデザインの考え方を取り入れた授業設計について改めて確認できたこと、公開用のシラバスだけでなく、”この授業のマニュアル”とでもいえそうな「初回配布用シラバス」(一般的なシラバスよりも授業についての説明が詳細)なるものを知ることができました。
前回に引き続き、生涯学習班の、調査の実際について、書きます。 調査は、相模原市立博物館と、福島県立博物館について、これらの博物館が、生涯学習の拠点として、ふさわしい活動ができている、要因と背景を、明らかにするものです。 調査した資料は、相模原市立博物館の、ウェブサイトの資料と、年報、活動評価報告書、です。 また、学芸員資格取得の、学習で使用した、博物館概論、生涯学習論、博物館教育論の、3冊のテキストからも、アイディアをもらいました。 最終発表では、自分が分担した、相模原市立博物館について、生涯学習の拠点として、ふさわしい活動ができている、要因と背景を、まとめることができました。 しかし私は、相…
(2022.2.4、東京都町田市、玉川大学) 前回は、博物館の調査を行う、班の構成について、書きました。 今回は、調査の実際について、書きます。 私は、生涯学習班となり、メンバーは、20代前半のAさんです。 生涯学習班は、生涯学習の拠点としての、博物館について、事例調査をします。 調査により、その博物館が、生涯教育の拠点として、ふさわしい活動ができている、要因と背景を、明らかにします。 事例は、相模原市立博物館と、福島県立博物館です。 私は、相模原市立博物館を、担当しました。 調査に当たり、相模原市立博物館の、概要と活動内容について、把握する必要があります。 そのため、まず、相模原市立博物館の…
理工系大学の授業は単独行で行うよりむしろ複数の教員で分担していることの方が多い。この際、採点や評定は単に学生の頭数で分担するのではなく、問題ごとに分担するのが正しいやり方である。同じ問題では採点・評定者を変えず、他人の職域にはむやみに口を出さない。これが授業の安定性につながるのである。逆に、誰かが全部の問題について仔細な採点基準を作って全教員に徹底させようとするのは最も下手なやり方であって、各教員の裁量を損なう上に、あちこちに矛盾が噴き出して人間関係までがおかしくなる。これはすでに世界中で知られている教育界の経験則の一つだが、どこにでも変に仕切りたがる人がいるのが世の常で、結局は余計な画一化が…