城阪早紀さんの『語句分析から『覚一本平家物語』と『延慶本平家物語』の相違を考える』(科研報告書20k21999 2022/3)と「『屋代本平家物語』巻一自立語索引」(「同志社国文学97 2022/12)を見ました。軍記物語諸本論の方法をどうにか客観的なものにしたい、敢えて言えば数値化できるものにしたい、という気持ちが最近の若手研究の底流にあるようなのですが、城阪さんの試みは、それを表現論・構想論に結びつくものにしたい、との思いからと見受けました。 前者は覚一本と延慶本について、両本の性格の相違が浮かび上がるように、特徴的と思われる350語句の一部の用例を対照した表を27本掲げたものです。例えば…