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環境管理型権力

(一般)
かんきょうかんりがたけんりょく

そこで、環境管理型権力とは何かということであるが、それは、環境としてのアーキテクチャーが一種のパワーとして人問をその意図するところに沿うように動かし管理することを意味し、そしてまたそのような設備・システム(=ア一キテクチャ一)が我々を囲繞する状況でもあるのだ。このことは、設計次第で人々の行動を制御することができ、それ自身が支配の権カになってしまうことを意味する。例えば、卑近な例として、マクドナルドの硬い椅子があげられる。椅子を硬くすることにより客の回転率を高め、動きをコントロールすることができる。あるいは、監視力メラ然り。このような、人問の行動を管理・コントロールするアーキテクチャーが、上記のようなセキュリティ意識の高まりの中で急速に二一ズを増し、実際に設置も増加しているのである。さらに、こういったアーキテクチャーが、マクドナルドの椅子の例のように権力もしくはコントロールされていると感じさせない、即ち無意識化されており、その上、特に昨今はIT技術をはじめとする先端テクノロジーによって精緻化が進展し、それがセキュリティを第一の目的として機能しているのである。監視カメラの氾濫する歌舞伎町やそれによる個人照会、高速道路のNシステム、ICタグを応用したゲイテッド・コミュニティー、あるいは公共空間での大雑把なゾーニングではなく精緻化された種々のフィルタリングなどが、アーキテクチャーとして、セキュリティの為に次々と構想され構築されている。それに加えて、五十嵐太郎の指摘するところによれば、このセキュリティと同じコンテクストで、「排除」という観点からのアーキテクチャーも非常に目立つようになってきている。ゲイテッド・コミュニティーやフィルタリングといった技術も「排除」という機能を果たすが、それら以外にも「排除」の為のアーキテクチャーが顕著になってきているのである。一例として、各地にある手すりをつけたベンチ(図1・2)や、新宿駅西口の地下道に設置されている円筒を斜に切った形のオブジェ(図3)などが挙げられよう。これらは一体何を目的として設置されているのであろうか。「新宿西口」ということで既に明白であると思うが、言うまでもなくそれはホームレスの排除に他ならない。

http://kingo.t.u-tokyo.ac.jp/ohno/po/environseminar-folder/02hirabayashi.htm

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規律訓練型権力

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