宮沢賢治の詩「蠕虫舞手」(1922.5.20)に「赤い蠕虫(アンネリダ)舞手(タンツエーリン)は/とがつた二つの耳をもち/燐光珊瑚の環節に/正しく飾る真珠のぼたん/くるりくるりと廻つてゐます/(えゝ 8(エイト)γ(ガムマア)e(イー)6(スイツクス)α(アルフア)/ことにもアラベスクの飾り文字)」(下線は引用者)という詩句がある。赤い小さな生き物は詩の中では「ナチラナトラのひいさま」と呼ばれている。本稿では「ナチラナトラのひいさまは」の「燐光珊瑚の環節」に「正しく飾る真珠のぼたん」が何を意味しているのか考察する。 1.燐光とは 「燐光」は,燐(リン;P)の自然発火による青白い光。または外部エ…