定期借地権を活用して急激な事業化を図ろうとも、現状の周辺が農地のままでは良好な市街地にはなりません。
農地としての区画は必ずしも住宅地として相応しい区画とはなっていませんし、また道路・公園も未整備で、ガス・水道・下水道などの施設も不十分です。
そのような地域を良好な住宅市街地とするためには、地域を一体とした土地区画整理事業を実施することにより、都市基盤の整備を図るとともに、住宅地として相応しい区画に改めなければなりません。
ところであまりに大規模な土地区画整理事業を自ら実施するのも大変なことですし、また全面的な宅地化を目指すのではなく、一部は農地(生産緑地)として残すということも必要です。
平成3年4月に「生産緑地法」が改正され、三大都市圏の市街化区域内農地は、固定資産税・相続税ともに宅地並課税が始まりました。
市街化区域であっても「生産緑地地区(生産緑地法第3条第1項)」の指定を受けると、固定資産税は農地としての課税で済み、相続税についても納税猶予を受けることで宅地並課税を回避することが可能となり、当然ながら節税目的で、「生産緑地への転用」の指定者が続出しました。
生産緑地の指定を受けると、税金は安くなるのですが、原則30年間は農地からの宅地転用は許されません。
宅地並課税を受けても将来の宅地転用の可能性を残しておくべきだった農地も、目先の税負担から逃れるため、とりあえず生産緑地に転用届してしまった都市農家も多かったようです。
幹線道路沿いの農地などは、宅地並課税を受けても将来の宅地転用の可能性を残しておくべきだった農地なのに生産緑地指定となっていきました。