ニーチェの道徳哲学と自然主義: 『道徳の系譜学』を読み解く 作者:ブライアン・ライター 春秋社 Amazon 新刊で購入。随分読むのに時間がかかってしまった。いやいや素晴らしい。分析哲学的スタイルで明晰判明を範とした記述・論証は、古くは実存哲学寄り、さらに時代を下ってポストモダン系の入門書・解説書が大半のニーチェ哲学関連文献ばかり読んできた人間には非常に新鮮に感じた。「自然主義者としてのニーチェ」という路線は大筋では正しいと思う。 目についた箇所だと、「ニーチェは私たちの禁欲主義的な道徳を単なる一自然現象と見なすことによって、この道徳を、神的な戒めや事物の永遠で不変の秩序の領域から引きずり下ろ…