「半世界」同人たちの旅行のスナップ 田畑麦彦について考える時、どうしても戦前の詩人・尾形亀之助について連想せずにいられない。 二人とも資産家の親を持ち、青年で文学を志し理想主義的なロマンに燃えて同人誌を立ち上げるが、金があるのをいいことに仲間から散々たかられ、利用されて終わる(麦彦の場合そうとも言えないが)。両者とも晩年は世捨て人のように過ごした。 亀之助は麦彦とちがって事業を手掛ける(そして失敗する)ようなことはなく、専ら文学(詩)の世界を離れることはなかった。しかし詩集を3冊出した後は郷里の仙台に帰って市役所の役人として過ごし、最後はほとんど食べず自殺のように42歳で栄養失調で死んだ。麦彦…