火猫の文句百垂れが停まら無い 昔の民家の厨房は、土間が普通で有った。当時は下駄を履いて居たので、土間は凸凹で有った。玄関口から裏口迄、下駄を履いた儘儘通り抜けが出来た。猫は開けっ広げの座敷で生活して居た。極寒の冬の土間は氷床の如くに冷たい。下駄を履かぬ飼い猫は御三度で忙しく動き廻る若女将の脚の甲に載りたがった。厨房の土間には大きな竃が在り、当時は稲藁や、麦藁を燃料にして居た。当時の竃は、灰猫の寝床で有った。白猫も灰に塗れて灰猫に成る。灰被り姫の寓話は世界中で有る。厨房の竃の周りが一番暖かい場所で有った。日本も囲炉裏文化が栄えた。家族が寄り添い、会話が弾んだ。 姉さん被りの当時の若女将は、未だ暗…