雑誌「世界」に1960年から1962年にかけて連載された。 第一部 全体のイントロダクションと登場人物紹介。 寒冷地研究をしている出(いで)信也東大教授。戦前は陸軍の協力があり、戦後はアメリカ軍の協力があって、学究生活をしているインテリ。過去の経歴から反共親米(といってカルトな右翼ではない)。妻の弓子は家にいないで日本舞踊のサロン活動に熱中。元華族のライバル視に神経質になっている。5人の子供がいて、長男信夫(しのぶ)は国際関係論の助教授で、反米の論調でメディアの売れっ子になっている。次男吉備彦(きびひこ)は東大教養学部の学生。戦後派の無責任世代みたいであるが、千葉九十九里浜の漁村調査を一人で行…