昭和二十二年四月発行東洋史会紀要 第五冊東洋史会編纂 くさぐさ つだ さうきち 一 漢文とラテン語[略] 二 「中・今」 という語[略] 三 「掩八紘而為宇」 という語の意義とその出典 日本紀の神武天皇紀の己未の年三月丁卯にかけて記してある 「令」 というものに 「兼六合以開都、掩八紘而為宇、」 という二句があって、このうちの 「為宇」 がいつのころからか 「宇となさん」 とか 「宇とせん」 とかよみならわされているようであるが、これは 「宇をつくらん」 とよむべきものであって、その意義は 「宮殿をたてよう」 ということである。「宇」 は、このばあい、家屋そのものをさすのであり、「為」 は造作…