演劇ユニット・ストスパの第4回公演『エゴイズムでつくる本当の弟』を観る。作・演出は白鳥雄介。 ものがたりは白鳥自身の家族をモデルとした実話ベースとのこと、はなからそれを作者自身曝け出してみせるという前提。これが徹底している。 問題をかかえる家族のかかわりあいをえがくとなると重い話を想像する。それがあくまでコメディという姿に擬態している。悲劇的な実存的記憶は、第三者的観点からは喜劇のごとくうつるといえばそうなのだが、もちろんこれはけっしてコメディなどではなく、その擬態がつくりだす二重構造こそが本作のおおきなテーマとなっている。それは文学理論でくりかえし論じられてきた「私小説」的な虚構の問題ともつ…