大澤絢子先生の『親鸞「六つの顔」はなぜ生まれたのか』(筑摩書房、令和元年8月)の本論に補足はできないが、人物情報であれば補足できそうである。大正期の親鸞ブームの中で、創作『燃え出づる魂:親鸞の新生』(弘文閣、大正11年4月)を書いた百貨店日日新聞社社長の小松徹三について「生没年未詳」とされている。調べると、生年は分かった。『新聞人名辞典』第2巻(日本図書センター、昭和63年2月)に収録されている名簿のうち、大正13年版『日本新聞年鑑』の「名鑑」以降、昭和5年版まで小松について記載がある。これらによると、明治22年1月埼玉県児玉郡今井村生。群馬県立藤岡中学校を出て、早稲田大学法科専門部*1その他…