戦後公職追放になった数少ない女性のうち「著書」を理由した者は、2名である*1。1人は石原莞爾の研究者なら御存知の『東亜聯盟と昭和の民』(東亜聯盟協会、昭和15年8月)の著者小泉菊枝(のち白土菊枝)である。もう1人が、鳥井敦子という謎の女性である。『公職追放に関する覚書該当者名簿』には該当事項として「著書」とだけ記載され、どの本が問題になったかは不明である*2。ただ、占領史研究会編著『GHQに没収された本:総目録』(サワズ&出版、平成17年9月)*3によって問題とされた著書を推測することができる*4。鳥井の場合は、『皇道精神の真髄』(惟神皇道同志会、昭和15年2月)が挙がっている。 この本は、国…