恋の原点 完 始まりの予感 1 良牙はとどめの手応えを感じて、そのまま尻餅をついた。あかねのことを持ち出して乱馬の心の動揺と誘い辛うじて勝てたが、さすがに久々の乱闘はこたえた。自身も修行で鍛練を積んでいるが、乱馬も確実に腕を上げていた。 幸い警官は駆けつけてくる気配もない。人垣もいつしか散り散りになり、まるで最初から何もなかったように、街の景色は日常を取り戻していく。 アスファルトは春爛漫の陽光に照らされて、じんわりと温かかった。 視線の先に影が差し、地面に伸びた。影は太陽を遮り、ゆっくりと良牙のそばに膝をつく。 「怪我してるじゃない、良牙くん……」 てっきり乱馬の姿を追っていったと思っていた…