はしご酒(2軒目) その三十三 「ゼッタイ ニ キイテイナイ」① この私も、Aくんの熱弁を聞いているうちに、不覚にも、異次元にワープしてしまったこと、一度や二度ではない。 実に失礼な話だとは思うが、居酒屋空間においては、ご容赦願おう。ノミニケーション(居酒屋でのコミュニケーションのこと。しかしながら、ほとんど耳にしなくなった。すでに死語ということなのか)などというものは、そもそもそんなものなのである。 とはいえ、聞いていないでは済まされない、そんな場面での「絶対に聞いていないな」は、申し訳ないが、ご容赦は願えない。 切実な、生命にかかわる、取り返しがつかない、子孫たちに禍根を残す、そんなものに…