歴史に「もし」は禁物というが、もし大本営がハワイ諸島を手に入れ米国本土攻撃への前線基地とすることで「距離のハンデイの克服」に戦略目的(大戦略)を定める、すなわち真珠湾攻撃が海陸両用作戦であったならば、米太平洋艦隊の打撃は甚大で態勢立て直しには多大の時間を要したことであろう。そして情緒と空気が大勢を支配する日本軍は一気呵成に対米戦のみに集中し、形勢有利な隙に早期講和への活路を見いだし得たかもしれない。 しかし、大本営はこのような大戦略など考えて戦争に望んでいなかった。 陸軍は、南方のシンガポールを陥落し、フィリピン、蘭領インドネシアへ。海軍は、ハワイ作戦とイギリスの東洋艦隊を叩く。そのあいだに盟…