昭和60年ごろのこと。ある大学の講師控室で国文学専門のF先生と花の話しをしていた。 F「この季節から、いろいろな花が咲くでしょ。さくらやゆりなんかのメインの花じゃなくて、僕は野に咲く花の方が、味があって好きなんですよ」 私「そうなんですか?」 F「たとえばね。啄木の 『函館の青葉町こそ悲しけれ 友の恋歌 矢ぐるまの花』 っていう短歌があるんですがね」 私「ええ・・?」 F「のりもくん。この矢ぐるまの花って知ってます?」 私「いえぇ・・・聞いたことがあるような気も・・・」 F「そうですかぁ・・・青紫色の花なんですがね。日本古来のヤグルマ草のことじゃなくて、外国伝来のヤグルマギクの花のことを言って…