少年期に歌手として戦意高揚のための童謡を歌い、戦後は俳優・声優として活躍してきた矢田稔さん(93)=東京都多摩市=が5年ぶりに舞台に立つ。出演するのは、戦時期の映画界を描く演劇で、戦争体験や長い俳優キャリアから白羽の矢が立った。矢田さんは「平和な時代の若い俳優が、戦争を真剣に考えるきっかけとなってほしい」と話す。 ◆戦争に翻弄される映画人を描く 若い俳優たちとともに稽古に励む矢田稔さん(前列中央)=東京都杉並区で 演目は、若き映画助監督を主人公に、戦争に翻弄(ほんろう)される映画人と周囲の人びとを描く群像劇「獅子」。出演者を2グループに分けたダブルキャストで、矢田さんは映画監督として大成した高…