運良く、会社に程近い、近いといっても直線距離で二キロほどの場所で、そこへは一年前に移転したのだそうだ。以前は都心のビルを借りていたのであるが、賃料の安さと不便な立地でも患者の来院が見込める判断を病院の舵取り役は判断したのだろう。 T字路の角、国道に面した激しく車が通り過ぎる。お世辞にも静かな環境ではない場所に広大な敷地をふんだんに利用、駐車場も埋まるどころか、スーパーのそれと同様に満車にならないまでも、安心して停められる環境作りに徹した様子が覗えた。 私は伊達眼鏡をかけている。眼鏡を外した途端にあれこれといわれたので、自己防衛というやつだ。 口をあけた歩行者と同様のレーンに自転車を止める。会社…