2013年に発売された『心霊探偵八雲 ANOTHER FILES いつわりの樹』が10年ぶりに文庫化された小説だ。神永学の作品は全作読んでいたつもりが抜けていたのが分かり読んでみた。 赤い左眼で死者の魂を見ることができる青年・斉藤八雲が、同じ大学に通う小沢晴香と出会い、警官の後藤と石井とともに次々と起きる怪事件に挑んでいくサスペンスミステリー小説だ。 神社の境内にある樹齢千年を超える「いつわりの樹」と呼ばれる杉の木の前で刺殺体が発見される。事件はここから始まる。 昔、この木の前で商人の娘と妻がいるのにもかかわらず偽りの契りを交わした武士が原因不明の病で亡くなった。それ以来、この木の前で嘘を吐く…