かつての稲毛海岸は、東京湾に向かって遠浅となり、潮干狩りを生業とする人々越しに富士の霊峰を望むことできていたという。現在では、国道14号線が海岸線に取って変わり、遠浅だった浜は埋め立てられ京葉工業地帯の一角を成している。そんな稲毛海岸に1件の別荘が残っているので、今回訪れてみた。 その別荘地は、神谷シャトー(現:牛久シャトー)を創業した神谷伝兵衛が大正7年に建てたものであり、現在では国の登録有形文化財に指定されている。日本のワイン王が建てた別荘は、随所随所に意匠が凝らされており、大変見事なものであった。意匠が凝らされているという堅い言葉で表すより遊び心が溢れると言った方が正しいかもしれない。無…