休日の前の夜、千代子はつい、アマゾンを開いてみています。 素敵なオードトワレ、読みたくなるエッセイ、美味しそうなお菓子のお取り寄せ。 気がつくと、三時間くらい眺めている時があるのです。 もちろん、楽しんで行っている事です。 けれど、時々、我に返るのです。 「素敵なものがありすぎて、結局、何も買わない。私は、何をしているのだろう」 選択が多いと、結局何も買わないという、実験もあるそうです。 アマゾンを眺めている時間の長い千代子には、それは実感として理解できます。 素敵なもの、欲しいものが際限なく検索できる環境にいると、自分が心から欲しいものは、本当は無いのではないかと思えて来るのです。 子供の頃…