中国人の留学生にお話をうかがいました。「日本の生活でつらいことは」と尋ねたところ、即座に「正座」という答えが返ってきました。意外かもしれませんが、中国は欧米と同じ「立式」の生活なのです。日本人でも正座が苦手な人は少なくありません。冠婚葬祭などの席で正座を余儀なくされると、つらい反面、気が引き締まって、まんざらでもないと思うこともあります。自分も、疲れたときはあえて正座をします。実は、日本に正座が浸透してから、まだ100年足らず。江戸時代中期の頃まで、正しい座り方といえば立て膝が主で、胡座(あぐら)のような姿勢だったといいます。もっとも、当時の日本の建築は板の間が大半で、畳は高貴な人のためのもの…