岩波文庫196ページ「こゝろみに徳山にかはりていふべし、婆子まさしく恁麼問著(いんももんじゃ)せんに、徳山すなはち婆子にむかひていふべし、「恁麼則你莫与吾売餅(恁麼ならば則ち你(なんじ)吾が与(ため)に餅を売ること莫(なか)れ)」。 もし徳山かくのごとくいはましかば、伶利(りんり)の参学ならん。」 ためしに徳山禅師に代わって言ってみせよう、婆さんがまさにそのように質問してきたならば、徳山禅師は婆さんに向かって言うがよい「そのようなことならばお前さんは私に餅を売ることはしないようにしなさい」。 もし徳山禅師がこのように言ったとしたら、徳山禅師は鋭く明晰な仏道を学ぶ者であろう。 婆さんの「過去心不…